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子供の鼻水・鼻づまり

鼻水に関連する病気鼻水に関連する病気

風邪症候群風邪症候群

風邪の病原菌が鼻に侵入すると、鼻の粘膜から鼻水がたくさん分泌されます。風邪の病原菌が鼻に侵入すると、鼻の粘膜から鼻水がたくさん分泌されます。

ひきはじめはサラサラとした透明な鼻水がたくさん出ますが、数日すると粘り気のあるやや黄色みを帯びた鼻汁にかわり、1週間程度で治るのが一般的です。

鼻水・鼻づまりの他、喉(のど)の痛み、発熱や頭痛・関節痛、時に腹痛や下痢(げり)――などもあらわれます。

【治療】

風邪の治療の原則は、安静、保温、水分補給、十分な睡眠――です。来院される患者さんの中には「抗生物質をください」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、風邪の治療に抗生物質は通常必要ありません。風邪の原因はほとんどがウイルス感染で、抗生物質では効果が得られません。そこで、高熱や頭痛には解熱・鎮痛薬、喉の痛みにはうがい薬やトローチといったように症状を軽くするお薬を用います。

特に子どもの場合は、菌を的確にターゲットできていない不必要な抗生物質を服用することで、発疹などのアレルギー症状を起こしたり、腸の正常細菌がダメージをうけて下痢を起こしたりするなど、かえって害になる場合が多いのです。

ただし、細菌性の扁桃炎(へんとうえん)、副鼻腔炎、中耳炎、肺炎、尿路感染症――などを合併している場合には、原因菌に適した抗生物質を投与します。ただし、細菌性の扁桃炎(へんとうえん)、副鼻腔炎、中耳炎、肺炎、尿路感染症――などを合併している場合には、原因菌に適した抗生物質を投与します。

アレルギー性鼻炎アレルギー性鼻炎

アレルギーの原因になるアレルゲンが体内に侵入してアレルギー物質を作り、鼻腔の粘膜を刺激して鼻水、鼻づまり、くしゃみ――などを引き起こします。アレルギーの原因になるアレルゲンが体内に侵入してアレルギー物質を作り、鼻腔の粘膜を刺激して鼻水、鼻づまり、くしゃみ――などを引き起こします。

ある植物の花が咲いている(花粉が飛散している)時季に起こる「季節性アレルギー性鼻炎」と、ハウスダストやカビ、ペットの毛などで起こる「通年性アレルギー性鼻炎」があります。最近では、発症の低年齢化が進んで、子どものアレルギー性鼻炎も多く見られます。

【治療】

アレルギー性鼻炎の治療には抗アレルギー薬を用いますが、その原因となっているアレルゲンをなるべく取り除くことが治療の第一です。

子どものアレルギー性鼻炎はハウスダストがアレルゲンとなっている通年性であることが多いので、まずはハウスダスト、特にダニやノミ、カビ、ペットの毛――をなるべく取り除くことを心がけましょう。

具体的には、

などです。

血管運動性鼻炎血管運動性鼻炎

アレルギー反応が起きているとはいえないのに、鼻粘膜が朝晩の気温差やストレスなどのわずかな刺激に過敏に反応して、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎と同じ症状を示す病気です。原因は明らかになっていません。アレルギー反応が起きているとはいえないのに、鼻粘膜が朝晩の気温差やストレスなどのわずかな刺激に過敏に反応して、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎と同じ症状を示す病気です。

原因は明らかになっていません。

【治療】

原因がはっきりしないため、症状を抑える対症療法が中心です。大人の場合は、規則正しい生活を送り睡眠不足にならない、バランスのとれた食事を摂る、適度な運動を心がけるなどで症状が軽減できるとの報告もあります。子どもの場合は、規則正しい生活を心がけるとともに成長に従って治ることもあるので、長い目で見守るようにしましょう。

急性副鼻腔炎(きゅうせいふくびくうえん)急性副鼻腔炎(きゅうせいふくびくうえん)

「風邪」をひいた場合、原因となるウイルスなどを排出しようと鼻水が多量に出ますし、鼻腔の粘膜が炎症を起こすので、粘膜下にある毛細血管が拡張して赤く腫れ、鼻づまりも起こります。風邪をひいたあとに、鼻粘膜の炎症が副鼻腔(ふくびくう)と呼ばれる鼻の周囲にある空洞にまで広がって起こります。

発熱や頭痛をともない、はじめサラサラとしていた鼻水が黄色くて粘り気のある鼻汁に変化して1週間を過ぎても治らない時は、急性副鼻腔炎を疑います。

炎症の広がり方によっては、目と目の間や、目の奥、ひたいや歯などが痛む場合があります。ただし、子どもの場合性副鼻腔炎を発症する頻度はさほど高くなく、慢性副鼻腔炎がほとんどです。

【治療】

鼻腔内にたまった鼻汁を吸引して取り除き、状況に応じて、その鼻汁で調べた原因菌に有効な抗菌薬と痛みを和らげるための消炎鎮痛薬を投与します。

4つある副鼻腔のうちの上顎洞に炎症がある場合には、洞内を洗浄する方法が大変有効です。

急性副鼻腔炎は体力が落ちているとかかりやすいので、抵抗力を上げるために睡眠を多くとることが重要です。そのほか、血管収縮薬で鼻と副鼻腔をつないでいる穴の狭窄(きょうさく)を軽減したり、炎症を抑え、中の鼻汁が出やすくなる効果のある吸入治療を鼻から行ったりすることも効果があります。

慢性副鼻腔炎(蓄膿症(ちくのうしょう))慢性副鼻腔炎(蓄膿症(ちくのうしょう))

「風邪」をひいた場合、原因となるウイルスなどを排出しようと鼻水が多量に出ますし、鼻腔の粘膜が炎症を起こすので、粘膜下にある毛細血管が拡張して赤く腫れ、鼻づまりも起こります。副鼻腔が慢性的に炎症を繰り返します。大人では黄色ブドウ球菌が原因の慢性副鼻腔炎が多く見られますが、子どもの場合にはインフルエンザ菌、肺炎球菌が原因であることが多いです。

鼻汁は黄色、または緑がかった黄色で粘り気を持ちます。粘り気を持った鼻汁は鼻から出るだけではなく、喉(のど)に回ることもあります。これを後鼻漏(こうびろう)と言います。

そのほか、鼻づまり、嗅覚障害、頭痛・頭重、集中力の低下――といった症状があらわれます。

【治療】

通院して、定期的に鼻腔と副鼻腔にたまった鼻汁をきれいに取り除きます。子どもでは成人と比較して、マクロライド系抗菌薬を少量ずつ長期間用いると治る確率が高いので、手術をせずに治すことが期待できます。また、鼻汁細菌検査を行って原因菌をつきとめ、有効な抗生物質を投与します。

また、子どもの慢性副鼻腔炎はアレルギー性鼻炎を合併していることが多いのですが、アレルギー性鼻炎に対して抗アレルギー薬の投与や、アレルギー感作を防ぐための原因の除去が行われます。

お薬による治療を行っても改善がみられない場合には、副鼻腔と鼻腔の通路を広げて空気や分泌物の出入りを良くする手術も検討しますが、副鼻腔が発育過程にあるため、通常15歳以下の子どもでは鼻茸(はなたけ)がある場合にその切除のみ行います。

手術後は、症状がよくなっても、再発予防のためにも耳鼻咽喉科の診察を定期的に続け、鼻の処置や適切な薬物の投与を行うことが大切です。

中耳炎中耳炎

風邪の病原菌が耳管を通って耳に入ることによって急性中耳炎を併発することがあります。小さな子どもに多く、風邪に引き続いて耳の痛みを訴え、耳だれも見られます。

特に保育所などで集団生活をしている乳幼児は、病原菌に対する免疫力が不十分なうちに年長児などが持ち込んだ強い細菌やウイルスにさらされる機会が多いので、中耳炎を発症しやすく、重症化して長引く傾向にあります。

中耳炎を併発する原因菌としては、肺炎球菌やインフルエンザ菌が多く、最近では「耐性菌」といって抗生物質に抵抗を示す菌が増えていて、治療が困難なことがあります。細菌以外にアデノウイルスなどが関係している場合もあると言われています。

細菌やウイルスが耳管を通って入り炎症を起こすと、本来備わっている自浄作用などの機能が低下します。そこで、炎症で生じた膿(うみ)がうまく排出されずに中耳腔(鼓室)にたまっていきます。このようになると耳の痛みや耳がゴロゴロとしたような違和感が強くなってきます。さらにたまった膿が増えてくると周囲を圧迫しますので、我慢できないほどの強い痛みになります。

2歳以下のまだうまくお話しできない子どもの場合は痛みを訴えられないので、理由もなくグズったり、さかんに耳に手をやるようになったりします。それでもまだ放っておくと、さらに膿が増え続け、やがて膿は鼓膜を破って外耳道へと流れ出します。これが耳漏(じろう:耳だれ)ですが、膿が耳漏として流れ出してしまうと中耳の内圧は下がるため、痛みは和らいできます。

それでも放っておくと、通常なら鼻腔の奥や中耳の炎症が治まって、耳漏もなくなり鼓膜に開いた穴も徐々に閉じて治っていきます。しかし、身体の免疫力よりも菌の増殖力が強い場合は、耳漏が続き中耳粘膜も正常に戻らないため、いつまでも治らなかったり、中耳腔に水や粘液が残ったままとなって、痛みはないものの聞こえにくい状態が残ってしまうこともあります。そうならないためにも、ひどくならないうちに耳鼻咽喉科を受診してください。

【治療】

まずは、原因菌に適した抗生剤の内服をします。子どもの急性中耳炎では、ペニシリン系やセフェム系などを使います。

などは治りにくい傾向があるので、最初からやや強めの抗生剤を選択することもあります。その場合、副作用として下痢(げり)を起こすことがあるので、整腸剤を一緒に飲んでもらうなどの予防策をあらかじめとったり、万一下痢をしたら抗生剤の種類を変えたりします。

鼓膜に穴が開いている場合や外耳炎も併発している場合には、耳浴(じよく)といって、直接耳に液状の抗菌剤を垂らして患部に直接浸透させる治療も行います。また、鼓膜に穴が開いている場合や外耳炎も併発している場合には、耳浴(じよく)といって、直接耳に液状の抗菌剤を垂らして患部に直接浸透させる治療も行います。通院して行ってもらう場合もありますが、ほとんどはご家庭でご家族が行えます。

強い痛みには、消炎鎮痛剤の内服薬あるいは坐薬を用います。痛みの程度によって頓用(痛いときのみ使う)として処方したり、1日に2~3回服用という形で処方したりします。なお、風邪の治療として小児科で処方される薬にも同じ効果の薬が含まれていることが多いので、小児科を受診している場合にはあらかじめ処方されているお薬を医師に伝えるようにしてください。

薬物療法を行っても症状が改善されず、中耳腔に膿が充満して鼓膜が押し上げられているような状態で痛みが非常に強かったり、聞こえも悪くなったりしている場合には手術も考慮されます。

まず、第一選択は、鼓膜切開をして中耳腔内の膿汁を吸引する「鼓膜切開術」です。この手術により、痛みや難聴は速やかに軽快します。鼓膜のごく一部を2~3mm程度切開するのですが、切開によって開いた鼓膜の穴は数日で自然に閉鎖します。

鼓膜切開をして中耳腔内の膿汁を吸引する「鼓膜切開術」です。
鼓膜切開刀

鼓膜切開術は、通常耳の中に麻酔液を入れて弱い電流を流す局所麻酔をしてから行いますが、約10分間じっと動かないで横向きに寝ている必要があるので、小さいお子さんでじっとしていられない場合は、麻酔なしで切開せざるを得ないこともあります。

鼓膜切開をしてもまたすぐに膿汁が溜まってしまう場合には、鼓膜を切開した後に膿汁の出口と換気を兼ねたチューブを入れる「鼓膜チューブ留置術(チュービング)」を行います。
局所麻酔機

次に、鼓膜切開をしてもまたすぐに膿汁が溜まってしまう場合には、鼓膜を切開した後に膿汁の出口と換気を兼ねたチューブを入れる「鼓膜チューブ留置術(チュービング)」を行います。

次に、鼓膜切開をしてもまたすぐに膿汁が溜まってしまう場合には、鼓膜を切開した後に膿汁の出口と換気を兼ねたチューブを入れる「鼓膜チューブ留置術(チュービング)」を行います。
鼓膜チューブ留置術(チュービング)

チューブは数ヶ月以上留置し、経過観察します。通常は外来で局所麻酔をかけて行う手術ですが、小さい子どもの場合はじっとしていることができないので、入院して全身麻酔で手術をします。

チューブはごく小さいので違和感を覚えることはありませんが、常に鼓膜に穴が開いた状態ですので、シャンプーなどの際に耳に水が入らないように注意する必要があります。スイミングを行っているお子さんはお休みしてください

このほか、喉の奥にあるアデノイドが増大して耳管の入り口をふさいでいる場合には、入院してアデノイドを切除します。

いずれの治療も完治するまでには長い期間がかかります。少し症状が良くなったからと自己判断で治療を止めず、医師と力を合わせて根気よく続けることが重要です。

日常生活での注意日常生活での注意

「風邪」をひいた場合、原因となるウイルスなどを排出しようと鼻水が多量に出ますし、鼻腔の粘膜が炎症を起こすので、粘膜下にある毛細血管が拡張して赤く腫れ、鼻づまりも起こります。鼻腔の奥から喉(のど)にいる細菌が中耳炎の原因となるとともに、それらの細菌による炎症のために生じた鼻汁などが耳管を塞いだり、耳管を腫れさせたりすることが中耳炎を長引かせる原因です。

そこで、鼻をマメにかんで、菌のいる黄色い鼻汁を出すことが大切です。しかし、正しい鼻のかみ方でないと逆効果となることもあります。

正しい鼻のかみ方は、反対側の鼻を押さえながら片方ずつ、ゆっくりと鼻汁を出すことです。両側を一緒にかんだり、勢いよく強く鼻をかんだりすると、かえって細菌を中耳腔へと追いやってしまいます。

また、鼻をすすることはいったん中耳腔が陰圧になり、それが戻る際に喉から鼻汁を中耳腔へ吸い込んでしまうので、鼻すすりは止めましょう。

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